ロボコンブログ

資料で見る!第1回ロボコンへの軌跡

2017年はNHKでロボコンがはじまって30年目に当たります。
事務局ではロボコン30年を記念して、
現在高専に残っているロボットのリスト化など
「ロボコン遺産」の発掘作業を進めてきました。

その作業の中で、明石高専から驚きの資料が届きました!
「第1回アイデア・コンテスト」に関わる資料の数々。

これらの資料をひもときながら、最初の高専ロボコンがどうやって動き出したか その軌跡を探っていきます。

◆出場案内・ルール <6月17日付>

アイデア・コンテストの出場募集は昭和63年6月17日に高専へ送付されたようです。全国49校の国立工業高専への送付ということで、公立・私立高専と商船高専を除く49校(沖縄高専は平成16年設立)に一斉送付されたのでしょう。 7月に設計図による選考を行い、1か月間を製作期間として8月11日にコンテスト本番を迎える予定だったことがわかります。出場案内から本番まで正味2か月。夏休み期間を意識したスケジュールです。 ルールは全部でたったの6項目!工夫とアイデアを重んじて、制約をほぼ無くしています。ただ、はじめてのコンテストということもあり、ルールは本番までに少しずつ少しずつ変遷していくようです。

◆製作依頼 <7月12日付>

選考通過通知です。ルールが修正されています。「進路妨害による失格」というルールが新設されたほか、細かい規定が増えています。
また、近日の別文書では、全国8チームの選考を「たくさんのアイデアが届いたため14チームに増やした」とあります。24校応募があり、14チームが選考通過となりました。最終的に、大会に出場したのは全12チームなので、選考後に参加を断念したチームと、前日に棄権したチームがそれぞれ1校ずつあった計算になります。

◆FAX連絡 <7月20日付>

コンクリート舗装の路面は、シート張りの床面に変更となりました。そして応援団の募集が記載されています。路面は、このあと7月24日に、「ベニヤ板無し・床材シート有り」と変更され、本番を迎えました。

◆ルール補足 <7月24日付>

「ゴールの判定」「ドライバーは操縦以外のエネルギーの発揮は許されない」などの規定が補足されています。

◆FAX連絡 <7月30日付>

「35メートル完走したチームがいる」という情報が! コンテスト側からのリークは、大会を楽しく進めてもらおうという狙いでしょうか。さらに、「マシンにニックネームをつけてください」というお願いも。ここで「○○号」と例示したために、初期ロボコンにおいては「○○号」というロボットが多くなったのかもしれません。

◆ニックネーム連絡・ルール確認 <8月5日付>

明石高専の伝説のマシンが、「恐怖の人間糸車」と命名されました。「10分間のセッティングタイム終了時に準備が終わらなかった場合、超過タイムも記録に含まれるか(含まれても良いので超過させたい)」との確認が行われています。各チームへの取材と連絡の中で、次々と質問が増えていったことが推察されます。

◆FAX連絡 <8月8日付>

大会3 日前のルール変更です。当初予定していたオールトーナメント形式ではなく、単独走行での予選を行い、上位4チームによる決戦にする、となりました。

◆放送連絡 <8月18日付>

放送当日の連絡FAXです。11日夜に収録が終了して、18日夜の放送です。ディレクターは、番組を不眠不休で編集したことと推察されますが、その疲労困ぱいの中でも、この2か月間の感動と感謝を伝える一言一言が熱いです! 全文を掲載します。

いよいよ本日、20時00分から、20時44分まで総合テレビであのレースの模様が放送されます。
 思えば、長いような短いような不思議な体験でした。
アイデアの段階では、一体、何チームが成功するのか見当も尽きませんでした。しかし、皆さんの応募用紙を拝見すると、忠実にアイデアが実現されているのに、改めて驚きました。実に多くの試行錯誤が、その間にあったものと思いますが、僅か一箇月の製作期間で作り上げてしまう皆さんの技術力には感服してしまいます。どんなに素晴らしいアイデアでも、それを作り上げる技術の裏付けがなくては意味のないことが良く分かりました。
 それにも増して感動したのは、皆さんの明るさと、物を作り上げようという熱意です。こんなに爽やかな人達にお会い出来たことの幸せを噛み締めています。レースでは当方の不備の為に様々な御迷惑をおかけしてしまいました。しかし、表彰式の時の皆様の笑顔の素晴らしさは、これまで経験したことのないものです。番組製作の過程では、ビデオの編集や、ナレーションを入れるために、何度も何度も収録したビデオを見ることになりますが、何度見ても皆さんの素晴らしいアイデアと、いきいきとした姿に、つい笑いがこぼれてしまいました。思わずみとれて肝心のことを忘れてしまう程です。スタッフの間でも大評判です。
  こんな経験はとにかく初めてで、もう少しルールの問題や、コンテストの意味について皆さんとの共通理解を作り上げ、受け入れ体制を整えておくことが出来たなら、本当に楽しい物になったのにと悔やまれてなりません。
  また、皆様に撮影して戴いたビデオや、撮影にお邪魔した部分は殆ど登場しません。大会の模様も、一チーム毎の御紹介は極短いものになっています。しかし、番組全体では、皆さんの素晴らしいアイデアの意味や、熱意、明るさ、その他諸々の物が伝わることと思います。
ご覧戴けば、そうした意図を充分御理解いただけるものと信じています。チームの皆さんや、技官の方々にも宜しくお伝え下さい。   本当にありがとうございました。また、お会い出来る日を楽しみにしています。


「またお会い出来る日を楽しみにしています」と手紙は締めくくられています。まだ第2回の開催などまったく決まっていないはずです。しかし、この日放送された「アイデア対決・独創コンテスト」は、大きな反響を呼びました。そして、「アイデア対決・ロボットコンテスト」となり、第2回の開催が決定しました。

ロボコンはその後、世界へと広がり30年続くイベントとなります。その端緒となった高専ロボコンは、今も「アイデア対決」の冠を外すことはありません。ものづくりの楽しさと熱意、素晴らしいアイデアとそれを作り上げる技術。すべての参加者をたたえて、これからも続いていきます。