OB・OGの言葉
2016.11.17

夢と技術のお祭り、高専ロボコン! — 新宮正弘

21世紀最初の年、2001年。私は念願であった高専ロボコン全国大会に、チーム一丸となって作り上げたロボットを投入しました。ロボットの名は「Moon Walker」。バルサ材の骨格と、筋肉の役割を果たす輪ゴムでできた高専ロボコン初の”人型ロボット”です。名前の由来はマイケル・ジャクソンのMoon Walk、その名の通り地面を滑るように脚を動かして移動する、丸顔に太い眉毛が特徴のロボットです。

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ロボコンに取り組む思いとロボコンで培ったこと

小さい頃はテレビで放送されるロボコンを見ていつもワクワクしていました。目的を達成できるだけではなく、見ている人が楽しんで、喜んでくれるロボットを作ってロボコンに出るぞ!と心に決めたのは小学5年生の頃。それ以来「自分に夢を与えてくれたロボコンに、次は自分が夢を与えられるようなロボットを作って挑む!」という思いでロボコンに取り組んできました。幸いなことに、地区大会、全国大会を通じて、たくさんの笑顔に恵まれ、それは今でも私の誇りであり,喜びであると同時に,とても大きな財産となっております。ロボコンに出場する中ではたくさんの学びがありました。それは、
● 自ら手を動かして、物を創り上げる・実現させることの重要性
● 信念を持って意思を貫く姿勢の大切さ
● どれだけシンプルにその目的を達成できるかという発想
● チームで取り組むことの重要性
などです。

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映画「ロボコン」の撮影現場にて。
箱を運ぶ Moon Walker。

現在の研究と、ロボコンで学んだことがどう活きているか?

今私は、人間・機械・情報系の融合複合技術であるサイバニクス・テクノロジを駆使し、装着する事で人間の身体機能を支援・増幅・拡張することができるロボットスーツHALの研究開発及び製品化に取り組んでいます。大学の研究室時代には,ポリオによって麻痺し、半世紀近く自らの意思では動かす事ができなかった方の足を,HALを用いて自由に動かすことに成功しました。その時の協力者さんの喜ぶ顔はまさに感動的!(実は協力者の方も高専生だったりします)。

ここに至るまでに、先に述べたロボコンの経験が大いに役立ちました。システム全体の設計、電気・電子回路の試作開発からプログラミングまで、自ら手を動かして作る・改良するという過程の中で新たな発見につながることがたくさんありした。

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IFC2011において。
ロボットスーツHALを身につけた筆者と山海教授。

また、特定の手法にこだわらず、同じ目的をシンプルに実現できる方法を探すという姿勢は、製品化の重要なキーになりました。誰もやったことがない領域の開拓は、時として孤独であり、先の見えない不安にさいなまれることもあります。それを乗り切ることができたのは、できる!という強い信念を持ってひたむきに取り組むこと、そしてそれを支え、議論してくれるチームメイトがいたからこそだと思います。

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ロボット製作中の一コマ

現役の学生さんへ

高専生は、即座にモノを形にできる技術力があり、エネルギッシュな人が多いという素晴らしい強みを持っていると思います。大学進学後も、頑張っている人の話を聞くと、実は高専出身であったという例は枚挙に暇がありません。このような強みを生かし、連携し、これからの日本を支える人になれるよう頑張って欲しいと思います。共に未来を切り開きましょう!

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全国大会の国技館控え室にて。
Moon Walkerとゆかいな仲間達。

プロフィール

新宮正弘
— 研究員[ロボットスーツ HAL など]・佐世保高専OB
1998年に国立佐世保工業高等専門学校 電子制御工学科に入学。
2000年にアシスタントとしてロボコンに出場。ドラゴンフィーバーで全国大会へ。
2001年にチームリーダーとして出場。九州地区大会では1回戦敗退も、アイデア賞で全国大会への道を開く。
全国大会では1回戦を勝ち抜き、2回戦で敗退。当時の審査員、黒鉄ヒロシ氏の推薦でエキシビションマッチに出場。
2003年公開の映画「ロボコン」に出演。全国大会2回戦において主人公チームの対戦相手となった。
2003年3月に国立佐世保工業高等専門学校を卒業。
同年4月に筑波大学に編入、その後大学院に進学し、2011年3月に学位取得。
現在CYBERDYNE株式会社の研究員として、ロボットスーツHALの研究開発に従事している。

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